グレート・デザイナー・サーチ3 ファイナリスト
ALEX WERNER(1人目)
TRIAL 3


以前に、公開されたカードテキストだけ訳しましたが、今回新たに審査員のコメントが追加されたので訳してみました。
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/great-designer-search-3-judging-design-tests-2018-05-15

とりあえず1人目のALEX WERNERさんの分だけです。長いし。てか他に7人分もあるし。全部訳すつもりか俺。

とか言ってる間に次のchallenge 1まで公開されたし。これも8人分あるし。全部訳すの無理だろ俺。
https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/great-designer-search-3-challenge-1-2018-05-17

てかさっそくALEX WERNERさん最初の脱落者になっちゃってるし。(ネタバレ)



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ALEX WERNER

https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/great-designer-search-3-finalist-alex-werner-2018-03-09

デザイン1.

黄泉からの進化/Evolution From Below(レア)
(黒)(緑)
インスタント
対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とする。そのコントローラーはそれを生け贄に捧げてもよい。そのプレイヤーがそうしなかったなら、あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストがそれ以下のクリーチャー・カード1枚を探して戦場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。

Erik Lauer:これは面白いデザイン空間であるが、ライブラリー全体を探すことは代価として正しくはないだろう。いくつかのマッチ・アップにとってベストな「3マナ以下の」クリーチャーが存在することになり、それを一度知られてしまえば、[訳註:生け贄にしないなら、毎回その致命的なクリーチャーがサーチされることになるため?]これは面白さの多くを失ってしまう。そのプレイヤーに、デッキの一番上の部分(一番上から7枚のカードとか)からいずれかのパーマネントを選ばせ[て、戦場に出させ]るようにするなら、より再プレイ性が得られるだろう。
Melissa DeTora:興味深い懲罰者カードで、面白いように見えます。Erikと同じく、私も、プレイヤーが毎回同じクリーチャーを探してくることがどのくらい頻繁に行われるのか懸念しています。このようなカードは、繰り返しのプレイパターンにつながる可能性があります。
Ethan Fleischer:これはクールで斬新なデザインです。黒のすること(除去呪文)と緑のすること(ライブラリーからクリーチャーをサーチ)をまとまったデザインに組み合わせたのはお見事です。不安定さと奇妙さを考えると、これは適切なレアのカードのように感じます。しかし、少し心配なのは、これが「懲罰者」カード(起こりえる事のうち、相手が悪い方を選ぶ)と呼ばれるものであることです。対戦相手が除去を握っているかどうかによって、大きく変わると思います。
Mark Rosewater:このデザインは、私が多色カード[を作る上]で楽しんでいることをしているという点で面白い。つまり、それぞれの色から1つずつ効果を選び、テーマにそって組み合わせるのだ。黒はクリーチャーを戦場から墓地に移動させることができ、緑はクリーチャーをライブラリーから戦場に移動させることができる。唱えた側は「クリーチャーの優位」を得ることができるが、相手に2つの選択肢を与えることで、それを予測不能にし、戦略的思考を可能にするのに十分な可変性を持っている。また、この能力を機能させる方法や、持ってこられるクリーチャーの制限のスマートさなども見事だろう。私もErikとMelissaに同意するが、このカードには再プレイ性の問題がいくつかある。私も、サーチをライブラリーの上から何枚かのカードに制限することを勧める。それ以外は、私はこのカードのファンだ。


デザイン.2

結ばれしナイラとハルン/Naila and Hrun, Fused(神話レア)
(2)(緑)(緑)(白)(白)
プレインズウォーカー―ナイラとハルン

+2:0より大きく、あなたがコントロールしているクリーチャーがパワーとして持っていない最小の数字を見つける。パワーとタフネスがその数字である、緑であり白であるエレメンタル・クリーチャー・トークンを1体生成する。その後、この手順を繰り返す。[訳註:無限ループになるように読める。「もう1回だけ行う」の間違い?]
-X:あなたはゲームの外部から、あなたがオーナーであるナイラ・プレインズウォーカー・カード1枚とハルン・プレインズウォーカー・カード1枚を選んでもよい。あなたがその両方を選び、かつそれらの点数で見たマナ・コストの合計がX以下であるなら、それらを戦場に出し、その後CARDNAMEを生け贄に捧げる。
Eli Shiffrin:クールなアイデアが出てきたが、書き出してみると、マジックのカードテキストのようには見えない――これはマジックのカードをデザインする際の課題の1つです。そのアイデアは捨ててしまいますか?それとも、そのまま試して、セット製作の後半になってそれを放棄しなければならなくなるかもしれないリスクを負いますか?これはまったくルールの問題ではありません――ナイラとハルンの最初の能力については、ルール上はうまく働きます――が、エディターと私は、この効果をどう書くか(カードの文法に合った、かつルールの範囲内で動作するように)議論しなければならないでしょう。このカードに適切な解決策があるのかどうか、私には疑問です。
Erik Lauer:ナイラやハルンが何をするのか、どんなコストなのかがわからないので、私にはこれはカードデザインというよりも単なる思いつきのように感じられます。
Melissa DeTora:この+2能力を3回読みましたが、まだどんな種類のトークンを作るのかわかりません。非常に複雑かつ数学的です。このデザインは自立しておらず、このカードを理解するには他のプレインズウォーカーが何をするのかを知る必要があります。十分な忠誠度を払わなければ機能しないのに、-Xであるのも奇妙です。
Ethan Fleischer:最初の能力は読み解くのにはかなり複雑です。また、1枚のプレインズウォーカーのプラス能力としては非常に強力なように見えます。マイナス能力は多くのプレイヤーにとって好ましくないと感じます。彼らが手に入れた神話レアは、しかし、さらに2枚以上の神話レアを手に入れなければ正しく機能しないのです。しかし、コンセプトはクールです。
Mark Rosewater:このカードには2つの部分があり、それぞれが違う問題を抱えている。最初の能力は、コンセプトとしてはクールだ。これがしようとしていることは好ましい。プレイヤーが理解できることと、かつルール上適切に働かせられることと、これら両方を満たす方法が存在するようには思えない。(要点はEliが言った通りだ。)クールなアイデアを、それを適切に伝える手段がないからといって捨てるのは難しいことだが、良いデザインであるということの一部は、プレーヤーが理解できるように作れるかということであるのだ。議論の余地はあるかもしれないが、(とはいえ、Eliと同じく私も懐疑的だが、)君はここでそれをしなかった。
第二の能力は、その影響を十分に考えることなく境界を押し広げてしまった例だ。プレインズウォーカーは神話レアだ――手に入れるのが難しいものだ。このカードを十分に使うためには、他に2枚の神話レアカードを集める必要がある。それは大きな要求だ。その上、これは[面白さの]一片を取り逃している。(特に、これがデザイン・テストのためのものであることを考えると。)「このクールなカードを見てくれよ、クールなことをやるんだ……他のカードを使ってね……それは見せないけどね。」他のプレインズウォーカーとペアになって働くプレインズウォーカーというアイデアは、私は好きだが、しかし君はただそれを、別々のプレインズウォーカー・カードに戻すだけだ。クールなコンセプトを導入したのに、それを突き詰めることを放棄してしまった。最後に、我々はプレインズウォーカーのキャラクターを再利用する傾向にある。このデザインは、どちらのキャラクターの将来のバージョンにも大きな制限をかけている。


デザイン.3

速刃の長槍兵/Swiftblade Pikeman(コモン)
(赤)(白)
クリーチャー―人間・兵士
3/1
CARDNAMEはその上に刃カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。
CARDNAMEの上から刃カウンターを1個取り除く:ターン終了時まで、CARDNAMEは先制攻撃を得る。
Erik Lauer:面白いデザインです。しかし、これは相手に多くの圧力をかけるものです。相手は、刃カウンターと小さなクリーチャーとをトレードするべきでしょうか?ほとんどのゲームでは、相手はカウンターを利用する機会を決して与えるべきではないでしょう。これは、コモンの多くに望むよりも複雑です。アンコモンにふさわしいでしょう。代わりに、赤緑のクリーチャーで、カウンターがターン終了時までトランプルを与えるといったものなら[コモンでも]いいでしょうね。
Melissa DeTora:リミテッド向けに一回限りのキーワードを与えるというのは、面白く、いいアイデアだと思います。ただし、この実装は好ましくありません。コモンに注意することの1つは、どれくらいの頻度で見逃されるかということです。このクリーチャーは、見えているトリックとして存在し、起動コストにはマナがないため、存在を簡単に忘れられてしまいます。これは先制攻撃でアタッカーを迎え撃つことができます。こういったカードの場合、私は先制攻撃を避け、トランプルのように、タダで戦闘に勝ということのない能力にするでしょう。
Ethan Fleischer:このカードは、相手のアタッカーを無期限に抑制し続けてしまうという、先制攻撃持ちの問題を解決しています。パワーレベルと複雑さは、コモンの金色カードとしては適切なものでしょう。
Mark Rosewater:このカードに関して私が問題だと思う点は、他の選考者とは少し異なる。私はこれが、入るセットに大きな制約を課してしまうだろうと考える。我々は、1つのセットにおいてクリーチャーに置かれるカウンターを1種類選び、プレイヤーが戦場を見てクリーチャーのサイズがいくつであるか、すぐに知ることができるようにしている。ここで君は刃カウンターを選んだ。(この名前は、君がこれをセットの一部ではなく、単独のものだと考えているととれるが――それは、我々がレアや神話レアでまれに行うことであって、決してコモンでは行わないことだ。)これは、君が+1/+1カウンターを使えないことを意味している。これは大きな制約だ。このカードからは、君が単体のカードでのみデザインを行っており、作ったものの影響については考えていないことが伝わってきてしまう。これは危険な特性であり、君のデザインにおいて自覚する必要がある。(特に、コモンにおいては。)


デザイン.4

催眠の王、ズィーム/Zyym, Mesmeric Lord(神話レア)
(1)(青)(黒)(黒)
伝説のクリーチャー―吸血鬼・ウィザード
3/4
飛行、接死
CARDNAMEが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札にあるカードの順番を選び、その後、あなたが止めるまで1枚ずつ公開する。そのプレイヤーは最後に公開されたカードを捨てる。
Eli Shiffrin:ナイラとハルンとは対照的に、ズィームのデザインはかなり簡単にテキスト化できますね。

CARDNAMEが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札にある、これによりまだ公開されていないカードを1枚公開する。あなたは「そのプレイヤーはそのカードを捨てる」ことを選んでもよい。そうしないなら、あなたとその対戦相手はこの手順を繰り返す。
Erik Lauer:これは斬新で、非常に面白い。しかし、私が(君の対戦相手だとして)、手札に6枚のカードを持っていて、(同じカードが一組あるとして)五種類の異なるカードがあるとしよう。私は360通りの順列組み合わせの中から選ぶことができる!これはかなり時間がかかるかもしれないな。神話レアなのは適切だろう。
Melissa DeTora:ディスカード効果の面白いやり方です。このマナレシオはとても強く見えます。必ず1枚のカードを捨てさせるというだけで十分に価値のあるクリーチャーなので、このボディは適切でないかもしれません。2:1交換を行うクリーチャーを作るときは、サイズやキーワードをクレイジーなものにする必要はありません。接死は必要ないでしょう。この誘発型能力を解決するのにどれくらいの時間がかかるか考えてみてください。この場合、対戦相手は多くのことをしなければなりません。最初に、カードを並べ替え、次に公開していきます。トーナメント・マジックにとっては不合理なほどの時間がかかるように思います。この効果はクールですが、このような強いレシオのクリーチャーについているので、トーナメントで多く使われるでしょう。これは、対戦相手にとっては、1回のゲームで何度もプレイされて楽しいカードの類ではありません。
Ethan Fleischer:私も、このカードがプレイヤーにとってトーナメントの場で実行するのが非常に難しいようだという意見に同意します。カードが公開されるたびに多くを考えなければなりませんが、「ストップ」と言ったら、カードを捨てることだと受け取られてしまうでしょう。「待って」や他のことは言えますかね?私には面白く思えませんね。普段、私は伝説のクリーチャーを、統率者プレイヤーを意識したデザインにするように心がけています。これが示す構築(デッキに《テレパシー》効果を詰め込むとか)は、とても楽しいようには聞こえませんね。
Mark Rosewater:私はミニ・ゲームを引き起こすカードが好きだ。これはプレイした最初の数回は面白いように見えるね。現在の形にはトーナメント上の問題があるという、他の選考者の意見には賛成だ。私ならば、これをより大きく重いクリーチャーにして、1ゲームの中でミニ・ゲームが起こる頻度を減らすだろうね。これみたいに、デザイナーが身近な物事を違った方法で行うことを考えついたときに、私は楽しくなるんだ。また、このカードのメカニズムが、精神的な吸血鬼の感じを上手くとらえているのが好きだね。


デザイン.5

ゴブリンの断頭台/Goblin Guillotine(レア)
(3)(黒)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。これによりクリーチャーが死亡したなら、そのクリーチャーと同じ色とクリーチャー・タイプを持つクリーチャー・トークンを1体生成する。コインを1枚投げる。それが表(Head)なら、そのトークンは「頭(Head)」という名前の1/1である。そうでないなら、そのトークンは「体(Body)」という名前の、死亡したクリーチャーのパワーとタフネスから1を引いた値のパワーとタフネスである。
Erik Lauer:ドラフト・デッキを作成するとき、多くの人は、挑戦し、勝利するためにドラフトに挑みます。デザイナーの仕事は、彼らが面白い経験をするように誘導することです。誰かが最初のパックを開いてこのカードを見つけた場合、その人が強いランダム効果を楽しむかどうかにかかわらず、[これがアドバンテージの得られる除去であるという理由で]このカードをピックする可能性があります。 あなたのカードのランダム性を楽しむことのできる他の誰かがテーブルにいたとしても、その人がこのカードをピックする機会はないでしょう。私が考える最も明白な解決策は、キャスティングコストを5BRに変更することです。しかし、あなたにデザインの選択肢を示すとするなら:
・より弱いランダムカードを作る。しばしばプレイに値しないものになるが、ランダム効果を本当に楽しむ人はそれを選んで使うことができます。
・もしくは、このデザインを使って、頭と体を常に両方生成するものを作るか。[ランダム性を無くすか。]それはドラフトではかなり強力なカードになり、ドラフトプレイヤーには歓迎されるでしょうが、あなたのデザインとはかなり違ったものになるでしょうね。
Melissa DeTora:これには、さきほどのカードと同じような問題を感じます。強いレシオを持ち、2:1交換を行います。時には大きな「体」を得て、他の時には1/1しか得られませんが、これに書かれていることは非常に強力で、高レベルの場でもプレイに値します。このような大きな振り幅のあるカードを好まないプレイヤーも、特に高レベルでは多いですが、このカードのレシオは非常に高いため、そのような高レベルプレイヤーも振り幅にかかわらずこれをプレイしたいと思うでしょう。
このカードに関しては他に追跡の問題を感じます。このクリーチャーがどれだけ大きいかを覚えておく必要があります。忘れてしまったカードを参照することはできません。なぜなら、サイズはコイン投げと死んだクリーチャーに依存しているからです。
Ethan Fleischer:このカードのフレイバーは奇妙です。なぜ、クリーチャーの頭(または体)は生き続けて、私に仕えるんでしょうか?
私見ですが、-1/-1の体トークンはあまりにもディテールが細かい[情報が多く、覚えにくい]と思います。このカードはトップダウンデザインですが、共鳴するコンセプトを表現していません。色やレアリティは適切だと思います。
Mark Rosewater:このカードは正当化できないほどに過剰にごてごてしているようだ。君がトップダウンのユーモラスなカードを作ろうとしていることは分かるが、それは私にとってはうまくいかなかった。君は、プレイヤーに記憶を要求する、大きく異なる2つのカウンターを使っている。トークンの1つは元のクリーチャーの特性を参照する必要がある。(さらに計算も必要だ。)これは少々煩雑だな。
しかし、コイン投げを楽しむプレイヤーのことを分かってるようなコイン投げカードを作ったことは評価できる。彼らは高い振り幅が好きだが、ErikとMelissaが先に指摘したように、君はそれを嫌うトーナメントプレイヤーたちの手から離しておく必要がある。全体の出来ばえとしては、私の好みよりもちょっと乱雑だな。


デザイン.6

新緑の創意/Verdant Ingenuity(アンコモン)
(1)(緑)(青)
ソーサリー
あなたのライブラリーの一番上から、土地カード1枚と土地でないカード1枚が公開されるまでカードを1枚ずつ公開する。その中の土地カード1枚を戦場に出す。その中の土地でないカード1枚をあなたの手札に加える。公開された他のカードをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
Erik Lauer:表面上は、これはランプ・デッキでプレイヤーに土地と非土地を与えるいいデザインです。しかし、この文章通りでは、土地の少ないデッキではより強力になります。たくさんの、選べるカード付きランプ呪文です。その後、デッキの大部分を並び替えることができます。教示者に近いことになり、私には合理的には思えませんね。私ならばこれを、ランダムな土地と、ランダムな非土地を得るようにし、また、カードをあなたのライブラリーの一番下にランダムな順番で置くようにするでしょう。古いフォーマットでは、人々はさらにクレイジーなことができるかもしれません(《トレイリアのアカデミー》を教示するヴィンテージ・デッキとか、呪文が少なくて高確率で《壌土からの生命》を見つけられるレガシー・デッキとか)が、スタンダードでテストするにはいいカードです。
Melissa DeTora:ライブラリーからカードを無制限に公開することには、いくつかの問題があります。例えば、オールスペルのコンボデッキやレガシーの土地デッキは、デッキのほぼ全部を公開することができます。ライブラリーの多数のカードを並べ替えることは、ゲームプレイを遅くし、解決を難しくさせます。私は青緑の2ドローのアイデアが好きですが、これは問題がある方法です。
Ethan Fleischer:これは素晴らしいデザインです。マナを伸ばし、そのマナの使い道を与えます。解決すると非常に満足できるのが想像できます。これはリミテッドでコモンだと少々[環境を]歪めるかもしれないので、アンコモンなのは望ましいことです。プレイテストで4マナにする必要があると判明するかもしれませんが、3で始めることは合理的に思えます。
Mark Rosewater:このデザインはいいね。君の1枚目のカードと同じく、異なる能力(土地フェッチとドロー)をいい感じに組み合わせて、1つの能力だと感じられるようにしている。唯一私が変えるだろうことは、ライブラリの一番下にランダムな順番でカードを置くようにすることだろう。通常、一番下に置かなければならないカードの枚数が3~4以上ある場合、能力を処理するのにかかる時間を減らすためにランダムにする。ErikとMelissaが上で言ったような古いフォーマットでの危険を解決することにもなる。


デザイン.7

霊体の封止/Astral Containment(レア)
(2)(白)(青)
インスタント
クリーチャー2体を対象とする。1体目のクリーチャーを、2体目のクリーチャーが戦場を離れるまで追放する。
Erik Lauer:これは素晴らしい、斬新なデザインです。白と青は最も近い色のペアですが[訳註:最も近い友好色は白と緑だと思うが……まあ主観的なことだし]、これは私には白く見えます。私ならこれを白単色に移し、別の白青のデザインを探すでしょうね。
Melissa DeTora:これは面白いデザインですが、追放させたクリーチャーについて覚えておかなければなりません。ゴブリンの断頭台と同じく、他を拘束しているクリーチャーについて、このカードを参照することができないのです。また、コストに青がある理由がないと思います。白単色の効果のように見えます。
Ethan Fleischer:この条件付きの1:1交換の除去は、レアカードには適していないように思います。一般的に、レアの除去呪文は構築を見据えており、スタンダードプレイヤーがこの効果に興味を持つとは思いません。
Mark Rosewater:このデザインは本当に好きだ。これまでに見たことのない、クールだが、比較的シンプルな方法だ。(22年マジックのカードをデザインしてきて、それは簡単なものではない。)多少の記憶は必要だが、第一のクリーチャーを第二のクリーチャーの下にして(追放されていることの)目印にすればいいだろう。他の選考者の、白単色の呪文であるという意見には、私も同意するよ。


デザイン.8

不敬者への鎮魂歌/Requiem for the Profane(アンコモン)
(白)(黒)
エンチャント
CARDNAMEが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
クリーチャーが1体死亡するたび、あなたはCARDNAMEをオーナーの手札に戻してもよい。
Erik Lauer:我々は、(100%ではなくとも)どのプレイヤーが勝つかははっきりしているが、終わらせるために多くのターンを要するゲームを避けようとしています。それぞれの側に同じ数のクリーチャーいて、お互いライフは10であるようなゲームを想像しましょう。片方のプレイヤーがこれをプレイし、2ライフをドレインしました。このゲームにはまだ何ターンかが残っていますが、1人のプレイヤーはすでに絶望しているかもしれません。私ならば、手札に戻すために2マナを要求するようにし、「ガードを下げる」瞬間があるようにするでしょう。長期的に見て効率が低いということは、ゲームの決着をわからなくさせます。
Melissa DeTora:深刻なプレイパターンの問題があります。このカードは反復的なゲームプレイにつながり、扱いが難しいです。あなたが除去呪文か生け贄手段を持っているかぎり、私はエンチャント除去でこれを壊すこともできません。このカードは単独でゲームに勝つことができます。それは楽しいようには見えませんね。
Ethan Fleischer:このカードからはすごいオルゾフを感じます。数ターンにわたって、徐々に対戦相手をドレインします。これは干渉手段のない勝利条件なので、プレイテストにいくらかのリソースを割く必要があります。遅いゲームにおいては、相手が[これを再利用されるのを嫌って]死にやすいクリーチャーを唱えることを抑制してしまうかもしれませんが、さほど大きな問題ではないでしょう。
Mark Rosewater:君がこのデザインでやろうとしていることは好ましいが、その出来映えには納得できないな。
第一に、色について話そう。黒はプレイヤーからライフをドレインできるし、クリーチャーが死ぬことにも注目する色だ。白は最初のこと[ドレイン]はしない(オルゾフと関連付けられていないかぎりは)し、二つ目のこと[死亡に注目]もめったにしない。このカードは黒単色でもかまわないものだ。オルゾフのフレーバーに頼ることで、それが機能するようにはできるが、我々は君に、名前のつけられていないスタンダード準拠のセットのためのデザインを課したのだ。
第二に、君は本質的には[クリーチャーが死亡するたびにドレインするという]誘発型能力を持つエンチャントを作ったが、気まぐれからそれを、手札に戻るエンチャントにして、プレイヤーに唱え直させるようにしてしまった。時と場合によってこの種のデザインをすることもあるが、それには多くのサポートが必要になるものだ。私はより明解な誘発の方が好きだし、Erikが言う、ライフドレインにコストをつけるのに賛成だ。


デザイン.9

大軍の血/Blood of the Horde(コモン)
(赤)(緑)
エンチャント
あなたがクリーチャー1体以上で攻撃するたび、攻撃クリーチャーの内の1体を選ぶ。ターン終了時まで、それは+1/+1の修整を受けるとともにトランプルを得る。
Erik Lauer:面白いカードですが、コモンではないですね。我々は多くのコモンを作るので、適切なコモンをデザインすることは君にとって重要なスキルです。
Melissa DeTora:繰り返しトランプルをつけるカードは、コモンにあっては面白くないでしょうね。このカードもあまり新しさを感じさせませんし。
Ethan Fleischer:通常、我々はコモンにオーラでないエンチャントは作りません。しかし、これはかなり単純なので、たぶん大丈夫でしょう。誘発をあなたのターンの戦闘開始時に変更して、このあまり使われないテンプレートを排除したいですね。
Mark Rosewater:他の選考者の繰り返しになってしまうが、我々はコモンにめったに全体エンチャントを作らないので、おそらくこれもコモンにはしないだろう。この能力をアンコモンに移すなら、私は好きだね。


デザイン.10

偉大なる発明者、サヒーリ/Saheeli, Prodigious Inventor(神話レア)
(2)(青)(赤)
プレインズウォーカー―サヒーリ

+1:あなたが飛行機械をコントロールしていないなら、飛行を持つ無色の1/1の飛行機械・クリーチャー・トークンを1体生成する。そうでないなら、占術2を行う。
-2:あなたがコントロールする飛行機械1体と、アーティファクトかクリーチャー1つを対象とする。その前者はその後者のコピーになる。それは引き続きアーティファクトでもある。(この効果はターン終了時に終わらない。)
-8:あなたは「あなたの終了ステップの開始時、あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストがX以下のアーティファクト・カード1枚を探して戦場に出す。Xはあなたがコントロールするアーティファクトの中の点数で見たマナ・コストの最大に2を加えた値である。その後、あなたのライブラリーを切り直す。」を持つ紋章を得る。
Erik Lauer:この能力は好きですが、それらが適切かどうかは疑問ですね。また、真ん中の能力を-X(Xはコピーするパーマネントの点数で見たマナ・コスト)にする必要があるとしても私は驚きませんし、加えて奥義をもう少し、この点数で見たマナ・コストのテキストに合うように、簡潔に意味の通るものにしたいですね。
Melissa DeTora:+1でトークンを生成する4マナプレインズウォーカーは構築での危険があり、これは、そのリスクを緩和するよい方法ですね。マイナス能力には追跡の問題があります。特に、これが複数回起動されている場合、どの飛行機械が何のクリーチャーになっているかを覚えておかなければなりません。
Ethan Fleischer:このカードは、プレイ体験の重大な問題を提示しています。私が想像した筋書きはこうです。
盤面に他に何もないときに、+1能力を起動します。私は飛行機械を得て、「飛行機械」と印刷された厚紙のトークンをテーブルに置きます。何も問題はありませんね。対戦相手は自分のターンに、自身のクールなクリーチャーを唱えたくないでしょう。なぜなら私はそれをクローンしてしまうからです。[ターンが戻ってきて、]私は自分のクールなクリーチャーを唱えて、サヒーリの-2を起動してそれをクローンします。しかし、そのクローンは「飛行機械」と書かれた厚紙のトークンで表されます。ですね?
私の次のターンで、私は+1能力を再び起動します。待った、それは可能でしょうか?突如として、-2能力が私の飛行機械トークンのクリーチャー・タイプを上書きしたという事実が明らかになり、しかしゲームの物理的な状態は、何ひとつそれを明確に示してはいません。これは不必要に私を混乱させるようです。
同様に、この奥義は、コピーが元のものと同じ点数で見たマナ・コストを持っているという事実にスポットライトを当てていますが、私のトークンはそれに関する情報を持っていません。
これらの批判はさておき、私はすべての能力が関連し、一貫したカードを感じさせているのが好きです。アーティファクトのコピーを作るのは、サヒーリであると感じられます。
Mark Rosewater:プレインズウォーカーはデザインが難しく、その理由の一部はそれらの持つ多くの技術的制約で、また一部はそのプレインズウォーカーのフレイバーに合わせることが難しいからだ。私は君がここで良い仕事をしたと思う。
あら探しをするなら。最初の能力が、君が一度に持てる飛行機械の数を制限しているのは好きだが、私には、君が2つの効果をごまかして1つの能力に乗っけたように感じられる。最終能力は第2の能力と相互作用し、それらを一緒に使いたいと感じさせるが、どちらもマイナスの忠誠度能力であるという事実は、それが実際にはほとんど起こらないことを意味している。



【全体的なコメント】
Erik Lauer:君は、マジックのカードを作る上で重要な段階を踏んでいる。君は斬新なデザインを持っている。君のカードは、その色と一致している。君は面白い決定[を行うカード]を持っている。
しかしながら、もう1つ重要な段階がある。君は、人々がそのカードでプレイしたときに何が起こるかを想像する必要がある。君自身に問いかけるんだ――どんな人がそれをプレイするのか、そしてその人々は君のカードを楽しんでプレイするだろうかと。このコンテストでうまくやりたいのであれば、次のデザインのために、その事について考えなくてはならない。
Melissa DeTora:全体として、これらのデザインの多くは斬新なものです。カードには、過度の複雑さが見受けられます。マジックと同じくらいの自由度のあるゲームでは、通常はそこまで複雑ではないものです。あなたのカードが何をするのかを理解するために数学を必要とするデザインは、特に希少度の低いカードにおいては注意が必要です。また、多くの追跡と記憶を必要とするカードには注意が必要です。
Ethan Fleischer:あなたは、各レアリティにふさわしいカードの種類をよく把握しており、また各色にどのような能力があるべきかということについて強いセンスを持っています。
全体的に、あなたの低いレアリティのデザインは、あなたの高いレアリティのものよりもよくできています。実際に、あなたの最も斬新なデザインたちは、そのせいなのかどうか、楽しいようには見えません。あなたのデザインした各カードで(繰り返し!)プレイするところを想像してみてください。時間があるなら、それらのカードでプレイテストをしてみてください。それらのカードのうち、プレイヤーが悪い体験をしかねない箇所を見つけてください。マジックのゲームにおいて、カードのメカニズムを実行するためにプレイヤーがする必要のある物理的な行動や、精神的なプロセスに注意を払うことです。情報をどうやって追跡するのかを考えましょう。
充分な共鳴のある、トップダウンデザインを見ることができませんでした。マジックの人気の鍵の1つは、人々がカードで表現されたクールものを見ることができるということです。次のチャレンジのために、クリエイティブなコンセプトに基づく、より多くのカードをデザインしてみてください。
Mark Rosewater:君は充分な創造性を持っており、またカラーパイについてよく理解している。君のデザインの多くは輝いていて、新たなるデザインの才能が見られることに、私は興奮している。また、君がどのように、探索すべき新しい領域を見つけるのかが楽しみだ。君には大きな可能性がある。というのも、このコンテストの残りで、君には実証してほしいからだ――多くの改善すべき箇所があるのだ。
第一に、君は君のカードをもっとプレイテストする必要がある。(すべてのファイナリストは、二人のプレイテスト仲間を持つことが認められている。)デザインの重要な部分は、君の決定がどう影響するかを理解することであり、プレイテストは、君のカードの、想定外の使われ方を明らかにするだろう。
第二に、カードが意図するところを伝える方法について、君はもっと把握する必要がある。私と他の選考者が正確に解釈することのできない文章を、君は何度も書いている。
第三に、君がやりたいことを実際に機能させられるかどうか、既存のカードを見て、よく調べることだ。新しい空間を押すことは良いことだが、それはルールが対応できる空間である場合に限る。
私は、君に何ができるのかを見ることが楽しみであるが、しかしマジックのデザインには、君の頭に浮かぶアイデアをただ書き留めることよりも多くの仕事があることを理解してもらわなければならない。




コメント

re-giant
2018年5月18日16:16

めっちゃ面白いので(訳すのがめっちゃ大変なのは理解できるのですが)続きに期待しています。

>これは素晴らしい、斬新なデザインです。白と青は最も近い色のペアですが
>[訳註:最も近い友好色は白と緑だと思うが……まあ主観的なことだし]

個人的には青白と赤黒あたりが、かなり上位に来ますね(※主観です)

BluE
2018年5月18日23:31

どもども。毎回、複数人分いっきに来るので、公式で訳されないのも納得の文量ですわ。まあ、デザイン的にもすげえ参考になるので、周回遅れになっても、できるだけ訳していきたいですね。……気力が続けばね。

>近い色

マローが、『セレズニアのデザイン』(://mtg-jp.com/reading/mm/0004200/)の中で「マジックのあらゆる色の中で、緑白が一番近い」と言ってますね。オリカ作る私としても同意するところです。共通する効果がいっぱいある。まあ、友好色は結局どれも似かよってくるんだと思いますが。

nophoto
balllight
2018年5月19日15:46

自分も妄想でオリカとか考えてるんで、読んでて面白かったです。翻訳がんばってください。
今回の人は自分的には今一だなと思ったけど、(特に2番目の結ばれしナイラとハルンとか意味不明すぎる)これでベスト8って事は、他の人はもっとひどかったんですかね。
まあでも4番目の催眠の王、ズィームのCIPは面白いと思いましたし、7番目の霊体の封止もありそうで無い感じのカードだと思いました。

BluE
2018年5月19日16:06

>balllightさん

どうもです。オリカ楽しいですね。翻訳がんばります。
ナイラとハルンは、ファイナリストの全80枚の中でもぶっちぎりで最低の出来だとは思いますが、他は審査員も言うように、とりあえず新しいことをしようとはしているので、そこが評価されたんじゃないでしょうかね。まあこの人、一番最初に脱落しちゃうんで、結局デザインが今一だったんでしょうけども。

BluE
2018年5月20日17:30

メモ:自分が考える、催眠の王、ズィームの改良案

CARDNAMEが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札からカードを1枚公開する。あなたは「そのプレイヤーはそのカードを捨てる」ことを選んでもよい。そうしないなら、そのプレイヤーは残りの手札を公開し、あなたはその中から他のカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーは選ばれたカードを捨てる。

この能力が何を行わせるかを考えると、結局、「一番大事なカードを先に公開するか、後に隠しておくか」の駆け引きになると考えられる。それならば、その1枚のみに選択を絞って、時間がかかる要因になる他の雑多な選択肢は無くしてしまおうと。
ただし、テキストは長くなる。

BluE
2018年5月21日1:00

催眠の王、ズィーム(神話レア)
(3)(青)(黒)(黒)
伝説のクリーチャー―吸血鬼・ウィザード
3/4
飛行、接死
CARDNAMEが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を2つの束に分け、その後片方の束を公開する。あなたはいずれかの束を選ぶ。そのプレイヤーは選ばれた束を捨てる。

マローの重くする案を受けて。「1枚捨てる」だけのことに、込み入った手順を必要とさせるのが割に合わないのではないかと思い始める。能力を強化し複数捨てさせられるように。

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